長期トレードに向いた通貨ペアは何か?値動きの特徴から分析
多くのFX業者では、20前後の通貨ペアの売買が可能です。では、それぞれの値動きについて、どのような類似点や相違点があるでしょうか。以下の主要通貨ペア5つについて考察してみましょう。
主要5通貨ペア
・ユーロ/円(EUR/JPY)
・ポンド/円(GBP/JPY)
・豪ドル/円(AUD/JPY)
・NZドル/円(NZD/JPY)
上の通貨ペア名をクリックすると、それぞれの通貨ペアの分析記事に移動します。この記事では、5通貨ペア全体を比較した結果を紹介しましょう。
主要5通貨ペアの長期チャート
最初に、2011年1月から2016年12月までの為替レートをご覧ください(調査期間につき、以下同じ)。
1つのチャートに5つの通貨ペアを表示していますから、さぞかし見づらいチャートになるかと思いきや、そうでもありません。まるで、変動が小さなボリンジャーバンドを見ているかのようです。すなわち、こういうことです。
- 円安傾向にあるときは、主要5通貨ペアすべてで円安傾向
- 円高傾向にあるときは、主要5通貨ペアすべてで円高傾向
このため、短期的にはともかく長期的には、これら5通貨ペアを分散して買っても分散効果は小さいと分かります。
分散効果とは、いくつかの投資対象に分散して投資することにより、ある一つの投資先で価格下落が生じても、他の投資先の価格が下がらなければダメージを緩和できるという考え方です。
しかし、値動きの方向が同じならば、分散効果を期待できません。
主要5通貨ペアの1日の値動きの大きさ
次に、1日の値動きの大きさを比較しましょう。1日の値動きの大きさは、「日足高値と日足安値の差」で計測しています。
2016年のポンド/円(GBP/JPY)が飛びぬけて大きいです。これは、2016年6月のイギリス国民投票の影響です。2016年を除いて考えても、ポンド/円(GBP/JPY)の値動きが最も大きいと分かります。
「ポンド/円(GBP/JPY)は値動きが大きい」と言われることがあるでしょうが、それはこのグラフからも分かります。
それに対して、「米ドル/円(USD/JPY)の値動きが小さい」と分かります。リピート系注文では、1日の値動きの大きさがとても大切です。値動きが大きければ大きいほど、取引が成立しやすくなります。値動きが小さいと、なかなか約定してくれません。
このため、少なくとも上の期間では、米ドル/円(USD/JPY)のリピート系注文は期待ほどに機能しなかったといえるかもしれません。
なお、ユーロ/円(EUR/JPY)の値動きを見ますと、ポンド/円(GBP/JPY)に次ぐ大きさだと分かります。ユーロ崩壊か?と噂が飛び交うような時期でしたから、この期間に長期でリピート系注文をするのは大変だったかもしれません。
しかし、実行していれば、かなり数多く約定したことでしょう。
主要5通貨ペアの年間高低差
次に、年間高低差を比較しましょう。年間高低差は、年間高値から年間安値を引いた数字です。
ここでも、2016年のポンド/円(GBP/JPY)が際立っています。イギリス国民投票がいかにすさまじいインパクトを持っていたかが良く分かります。
ここでも、米ドル/円(USD/JPY)の数字の小ささが少々気になります。NZドル/円(NZD/JPY)よりも小さい年が複数あります。
この期間の為替レートの水準は、米ドル/円(USD/JPY)が75円~125円くらい、NZドル/円(NZD/JPY)は55円~95円くらいでした。明らかにNZドル/円(NZD/JPY)の方が小さいです。
しかし、値動きは米ドル/円(USD/JPY)が小さい年が珍しくありません。米ドル/円(USD/JPY)は、1日当たりの値動きも小さいという結果でした。
主要5通貨ペアのヒストリカル・ボラティリティ
最後に、ヒストリカル・ボラティリティを比較しましょう。ヒストリカル・ボラティリティとは、値動きの大きさを%で考える方法です。
ポンド/円(GBP/JPY)の為替レート水準はNZドル/円(NZD/JPY)の2倍もあるのに、変動幅を「銭」で比較するのは適切でないかもしれないので、%でも確認します。
こうしてみますと、かなり分かりやすい関係が見えます。2016年がやや例外的ですが、ヒストリカル・ボラティリティを大きな順に並べますと、おおむね以下の通りです。
- NZドル/円(NZD/JPY)
- 豪ドル/円(AUD/JPY)
- ユーロ/円(EUR/JPY)
- ポンド/円(GBP/JPY)
- 米ドル/円(USD/JPY)
以上、値動きの大きさという観点から見れば、リピート系注文に最も適した通貨ペアは豪ドル/円(AUD/JPY)とニュージーランドドル/円(NZD/JPY)だろうという結果になりました。