窓の出現頻度とリピート系注文
リピート系注文で取引するにあたり、私たちは「常に相場がある」ことを前提に考えているでしょう。例えば、下の図の通りです。下の図では、為替レートがボックス相場(レンジ相場)になっている様子を示しています。
値動きが大きい・小さい、トレンド相場かボックス相場かなどの違いはありますが、連続して相場が動いているという前提で考えています。
窓とは
しかし、相場は365日24時間動いているわけではありません。具体的には、土曜日の早朝から月曜日の早朝にかけては、相場が止まっています。
すると、土曜日早朝の為替レート(金曜日の終値)と、翌週月曜日の始値の間には、いくらかの差が出ることがあります。これを「窓」と言います。下の図は、窓ができている様子を示しています。
赤丸は金曜日の終値、青丸は翌週月曜日の始値です。
この窓が出るとき、リピート系注文はどのように稼働するでしょうか。FX各社ごとにルールが異なりますので、窓ができる場合の約定方法を確認したほうが良いでしょう。
窓が出来たら、自動的に損になる?パターン
例えば、以下の例の場合、どうなるでしょうか。
利食い(決済)注文: 100.50円
金曜日終値: 99.90円
月曜日始値: 100.60円
この内容を図にすると、以下の通りです。窓の中に、買い注文と決済注文が入っていることが分かります。
月曜日の朝になりました。始値は100.60円です。そして、逆指値の買い注文は100.00円です。逆指値ですから、買います。しかし、100.00円では買えません。100.60円です。60銭分損していますが、それはFX業者にもどうしようもありません。
そして、利食い注文は100.50円です。現在は100.60円ですから、決済を実行します。
すなわち、月曜日始値で買い、即座に決済することになります。実際には、買値と売値の間にはスプレッドがあります。すなわち、月曜日の相場が始まった途端に損失確定の取引が実行されます。全く面白くありません。
リピート系注文の場合、この値動きで常に約定してしまうでしょうか。確認したいところです。
また、上の値動きは例です。その他の場合はどうでしょうか。FX各社のルールを確認しましょう。
窓の出現頻度
では、窓が出現する頻度はどれくらいあるでしょうか。1年に1回あるかどうかだったら、わざわざ窓の約定ルールを確認する必要はないかもしれません。しかし、毎週のように窓ができるなら、注意したほうが良いでしょう。
そこで、窓の出現頻度を調べました。為替レートは「くりっく365」からの引用です。くりっく365は公的な性質を有する取引所で、様々な有益なデータを無料で公開しています。
下の表は、2006年1月~2016年12月までの11年間において、米ドル/円(USD/JPY)で窓ができた様子を示したものです。11年という長期間の調査ですから、データにある程度の信頼を置けるでしょう。
この11年間、月曜日は全部で571回ありました。そして、10銭以上の窓ができた回数は260回ありました。率にして46%です。
下は、上の表をグラフ化したものです。
10銭の窓だったら、リピート系注文の挙動に影響はないかもしれません。しかし、40銭、50銭の窓ができた場合はどうでしょうか。10銭ごとに買う、あるいは、20銭ごとに買うというリピート系注文を実行している場合、窓の影響が大きいかもしれません。
また、確率は1%と小さいものの、100銭以上の窓ができたこともありました。
窓ができる頻度は、意外に高いと言えるかもしれません。すなわち、窓ができる場合の約定ルールを確認する価値があるということです。