取引設定例をご紹介する第6回(最終回)です。
最初に、今までの流れを振り返りましょう。長期の値動き全体に買いのリピート系注文を発注する場合を考察しました。しかし、それでは必要な証拠金が大きくなるうえに資金効率が良くないので、歴史的な円安部分では発注しない方法を考えました。
そして、注文本数は変えずに必要な証拠金だけ減らす方法を考え、次に円安部分で売りを出すパターンと、両建てにするパターンを検討しました。
円安部分で売り注文を出すのは、良い案だと思います。
というのは、必要な証拠金を増やさないで円安部分で取引できるからです。しかし、日々のスワップポイントがマイナスになってしまうのが欠点です。そこで今回は、円安部分で売り注文を出しても日々のスワップポイントをプラスのままにする方法を紹介しましょう。
売りのリピート系注文でも、スワップをプラスにする
下のチャートは、NZドル/円(NZD/JPY)の長期チャートです。1996年以降ですから、とても長い期間です。
そして、赤の四角部分で買いのリピート系、緑色で売りのリピート系注文を実行すると考えます。しかし、緑色部分ではスワップポイントがマイナスになってしまうのが嫌です。
では、売り注文を出しているのにスワップポイントをプラスにするには、どうすれば良いでしょうか。
円高の時に、NZドル/円(NZD/JPY)を買って長期で保有する。
例えば、NZドル/円(NZD/JPY)が40円台~60円台にあるとします。このとき、リピート系注文とは別に、長期保有で10万通貨買うとします。この10万通貨はずっと継続して保有します。
そして、円安になったら、8万通貨くらいを上限にして売りのリピート系注文を実行します。1注文で1,000通貨を売る場合、全部で注文数は80となります。売りの注文数は買った数量よりも少ないですが、これは、スワップポイントの性質を反映しています。
買いのスワップポイント:+50円
売りのスワップポイント:△60円
上の例のように、買いと売りのスワップポイントを合計するとマイナスになる場合が通常です。このため、売りの数量を少し少なめにします。
8万通貨売りのスワップポイント:△60円×8(万通貨)=△480円(1日あたり)
合計: +20円
この方法を採用すれば、円安時に売りのリピート系注文を実行しても、日々のスワップポイントをプラスに維持できます。
注文範囲を超えて円安になる場合はどうする?
売りのリピート系注文のデメリットは、日々のスワップポイントだけではありません。注文の範囲を超えて円安になる場合にどうする?という問題があります。通常はロスカットして終了しますが、損になるので面白い方法ではありません。
一方、円高で長期保有のポジションを買ってから円安で売るという方法の場合、どれだけ円安になっても構いません。
というのは、上の例では買いが10万通貨で売りが最大8万通貨です。1円円安になるたびに、買いの含み益は10万円増えます。一方、売りの含み損は8万円増えます。トータルで2万円のプラスです。
円安になればなるほど、含み益が大きくなります。毎日のスワップポイントもプラスです。よって、円安方向に進むのは全く問題になりません。むしろ、歓迎かもしれません。
注文範囲を超えて円高になる場合はどうする?
次に、注文範囲を超えて「円高」になる場合を考察しましょう。
円安時の売り注文は、円高になると全て利食いしていますのでポジションはゼロです。一方、買いポジションは数多くあります。
- リピート系注文の買いポジション
- 長期保有の買いポジション
スワップポイントはプラスですし、円高になっても大丈夫な証拠金を入金しています。そこで、含み損は基本的に問題ないはずですが、行き過ぎた円高は困ります。
また、リピート系注文の買いに加えて長期保有の買いがありますから、円高になるときの含み損の増え方が速くなります。
これを回避する方法はいくつかあるでしょう。
回避方法1:できるだけ円高で長期保有の買いを実行
できるだけ円高のときに長期保有のポジションを買います。こうすれば、円高になるときの含み損を抑えることができます。
しかし、為替レートが将来どうなるかというのは、事前に分かりません。このため、ギリギリまで頑張って円高で買おうと思うと、1通貨も買えないという結果になりかねません。
そこで、可能な範囲で実行したいです。
回避方法2:買いのリピート系注文の本数を減らす
こちらは、比較的実行しやすいです。買いのリピート系注文について、例えば当初は50銭ごとに買う予定だったとして、これを60銭ごとに買うことにしよう、という具合です。
50銭ごとに買うのをあきらめて60銭ごとにすると、利食いの頻度は少し小さくなるでしょう。しかし、長期の買いポジションからはスワップポイントが毎日得られます。土曜日・日曜日ももらえます。
また、いつの日か円安になるときには、大きな含み益となります。
よって、リピート系注文の本数減少が、そのまま成績の悪化につながるというわけではありません。
以上の通り、円高のときに長期の買いポジションを持てれば、精神的にかなり余裕を持ちながら、広範囲でリピート系注文を実行できるようになるでしょう。