当サイトでは、超長期のリピート系注文を中心にお届けしています。理由は、相場を読むことは難しいからです。相場を読めないならば、値動き全体に注文を出してしまおうという考え方です。
そこで、長期のリピート系注文を採用したとしましょう。
注文の内容と必要な証拠金額を確認して、入金もOK。実際に取引を始めてみると、そこそこ利食いできるのでいい感じだとしましょう。しかし、最終的に負けトレードになってしまう場合があります。
その状況を考察しましょう。
円安がやってきた!
下の長期チャートは、豪ドル/円(AUD/JPY)です。1996年以降の値動きを考えて、赤の四角の範囲でリピート系注文を始めたとします。55円から95円くらいまでの40円(4,000銭)ですから、とても広い範囲です。
トレードの開始位置は、どこでも構いません。ここでは、仮に1と2で赤丸を付けました。
1でも2でも、円安になりながら為替レートが上下動しています。これはとても良い状態です。下の2つの収益を同時に獲得できる上に、含み損ポジションが少ししかないからです。とても気持ちが良いことでしょう。
(1) 値動きによる利食い
(2) スワップポイント
買いの取引ですから、円安は大歓迎です。しかし、1の取引も2の取引も、為替レートが赤枠を超えて円安になってしまいました。この赤枠は、取引したい範囲です。為替レートが赤枠を外れて動くときは、取引しません。
「為替レートが円安になりすぎたから、取引を止めましょう」・・・これを実行できるでしょうか?という話です。
為替レートは上下動しますので、ドンドン利食いできます。そして、全体として円安傾向です。含み損も大したことはありません。そして、スワップポイントも得られます。この絶好調なときに、いきなり取引を止めるという話です。精神的に、とても辛いでしょう。
1の場面では、円安が進んでも少し我慢していれば、ほどなく円高に戻ってくれました。しかし、2の場面では、そうではありません。90円台から100円台の間で、ものすごい乱高下です。
リピート系注文が面白いように約定したでしょうから、約定通知メールがいっぱい!という嬉しい悲鳴だったかもしれません。
しかし、それを捨てようというのです。
上のチャートを見れば、赤枠を超えて円安になったら取引を停止すべきだ、と分かります。しかしそれは、過去を振り返って値動きを確認しているから言えることです。その後に起きたこと(リーマンショックなど)が分かっているからです。
今現実に面白いように利食いを繰り返している状況で、当初の予定通りに取引を停止できるか?…これは、取引する人の精神力にかかっています。
取引を止められずに高値で買い続けた場合、その後の円高で苦労することになるでしょう。
円高になった!
次に、円安後の円高について考察しましょう。上と同じチャートを再掲します。豪ドル/円(AUD/JPY)=100円を超えるような円安の時点では、何とか頑張って取引を見送ったとしましょう。次にやってくるのは、円高です。
上のチャートで、95円よりも上では買い注文を出していないとはいえ、発注範囲は55円~95円と広いです。そこで、円高が進行するたびに含み損が増えていきます。この含み損に耐えられるか?です。
資金面では耐えられるでしょう。というのは、全ての注文が成立して豪ドル/円(AUD/JPY)が55円になっても、強制ロスカットにならない証拠金を入金して取引を始めたからです。
また、日々のスワップポイントと利食いで、証拠金が増えていきます。その証拠金が有効に機能するので、強制ロスカットの位置は徐々に円高方向に移動していきます。
2008年のリーマンショック時の値動きを見ますと、一直線に円高になっているように見えます。しかし、実際には尋常でない乱高下でした。
このため、1日の約定メールが数十件~100件という状況だったかもしれません。
この状況を目の当たりにして、怖くなってしまうかもしれません。そして、怖いので、未約定の注文を削除してしまうかもしれません。そうすれば、ポジションが増えることはないからです。
しかし、これが失敗の原因となります。
未約定の注文を削除してしまったことにより、新規ポジションが作られなくなってしまいます。すなわち、その後の利食いもありません。
取引前に考えたことを優先しよう
では、以上のような失敗を回避する方法は何でしょうか。その方法の一つとして、「取引前に考えたプランを最優先にする」があります。
取引前ということは、まだポジションを持っていませんし、発注さえしていません。合理的な思考が可能です。ポジションを持ってから、「もっと稼ぎたい」「これ以上含み損を増やしたくない」という状況下での思考は、合理的に進めるのは難しいでしょう。
そこで、取引開始前に、ありうるパターンをできるだけたくさん想定しておきます。実際に「事件」が起きたら、事前の想定に従って行動します。
「このパターンは考えてなかった・・・(想定外)」という困った状況になりましたら、仕方がありません。その場で一生懸命考えることになります。しかし、想定外は良いことではありません。取引前にじっくり考えましょう。