ペナント(三角保ち合い)のチャートでトレードしようとする場合、ペナントが終了するタイミングを狙うことが多いかもしれません。しかし、ペナントを形成している間もリピート系注文で取引することが可能です。
そこで、ペナントについて考察しましょう。
ちなみに、ペナントと同義語で三角保ち合いという日本語がありますが、読み方は「さんかくもちあい」です(「さんかくたもちあい」と呼んでも不都合はありませんが)。
ペナントとは
ペナントの形状は、下の図の通りです。為替レートの動きが次第に小さくなって、最終的に一点に向かって進んでいるかのように見える値動きです。
このペナントの値動きは、ボックス相場(レンジ相場)と似ています。下の図は、典型的なボックス相場の値動きです。
ペナントとボックス相場の値動きの違いといえば、「値動きが次第に小さくなるか、それとも同じくらいで推移するか」の違いしかありません。
このため、ボックス相場でのリピート系注文を応用して、ペナントの取引を考えることが可能です。
余談ではありますが、ペナントで取引する場合の教科書的な例を紹介しましょう。下の図の通りです。
ペナントの頂点近くまで為替レートが進むと、上値抵抗線または下値支持線を超えて動きます。すなわち、どちらかの補助線を超えたら、その方向に継続的に進みやすいと言われます。この動きを狙って売買できるでしょう。
ペナントを利用したリピート系注文
では、ペナントになっているときに、どのようにリピート系注文を出せばよいでしょうか。
ペナントでの取引を期待して、Aの範囲に買いのリピート系注文を発注したとしましょう。ボックス相場(レンジ相場)ならば、その設定をそのまま維持すれば大丈夫かもしれません。
しかし、ペナントの場合は、為替レートの値動きが次第に小さくなります。
Aの範囲で取引を継続すると、Bの位置まで為替レートが来たときには、AとBの差、すなわちCの部分は全く約定できなくなってしまいます。
ペナント終了後に円安方向に動くならば、このCの注文はまだ活躍の余地があるでしょう。しかし、円高方向に動いてしまう場合は、Cの部分のポジションは利食いできないし含み損が広がるし・・・というわけで、いいことがありません。
そこで、ペナントでリピート系注文を設定する場合は、多少の修正が必要です。
修正1:ペナントが進むたびに、発注範囲を狭くする
ペナントは、為替レートの値動きが次第に小さくなります。そこで、買いの場合、円安部分の注文はなるべく設定しない方が無難でしょう。同様に、売りの場合は円高部分の注文を避けた方が安全でしょう。
また、チャートが進むにつれて注文本数を減らしていきますので、注文一つ一つを自由に削減できるツールを使って取引したいです。トラリピ(M2J)、トライオートFX(インヴァスト証券)、連続予約注文(マネーパートナーズ)などが、これに対応しています。
あるいは、裁量トレードでIFO注文(=If Done OCO注文)を毎回出してトレードするという方法も使えるでしょう。
修正2:いつブレイクしても良いように心の準備をしておく
ペナントの動きを教科書的に書けば、上側の補助線と下側の補助線が交わるあたりで、為替レートが上または下に大きく動くと期待できます。
しかし、実際のペナントでは、補助線の交点近くに来る前に為替レートが大きく動くことが珍しくありません。
すなわち、ボックス相場は「少しでも長期間ボックス相場が続いてほしい」と期待しながらリピート系注文を出すのに対し、ペナントの場合は、「いつペナントが終わっても大丈夫な心理状態」でリピート系注文を出す必要があるでしょう。
実際のトレードにこの心理状態は反映されないかもしれません。しかし、この気持ちのありようを明示的に認識したほうが、より安全なトレードができると思います。
そして、上または下の補助線を抜けて為替レートが動いていったら、その方向にトレードします。期待通りに取引できれば、気持ちよく利食いできるでしょう(もちろん、取引しないで見送るという案もあります)。