必要証拠金

円高になると含み損の増え方が大きくなる

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インターネットを隅々まで検索してみると、こんな例があります。すなわち、リピート系注文の取引実績を公開しているブログについて・・・

  • 円安傾向の時は、絶好調な感じで文章が書かれている
  • 大きく円高になると、記事の更新がピタッと止まる

何があったのか、それは本人しか分かりません。しかし、可能性としては「円高の含み損に耐え切れずに取引が終了した」と考えられます。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

円安傾向またはボックス相場(レンジ相場)の場合、リピート系注文はどんどん利食いを繰り返してくれます。すなわち、証拠金も増えているはずです。証拠金が増えれば、その後円高がやってきても耐えられるはずです。

しかし、現実はなかなか難しいです。

証拠金が増えても円高で失敗してしまう理由の一つに、「リピート系注文は、円高になればなるほど含み損の増加スピードが速くなる」ということがあります。詳しく確認しましょう。

円高になるときの含み損増加スピード

ここでは、円売りのリピート系注文をしていると仮定しましょう。この場合、円高が進むと損になります。

円高になるときの含み損増加スピードについて、イメージ図で確認しましょう。

必要証拠金額の考え方

必要証拠金額の考え方

上の図は、必要な証拠金額の考え方です。必要な証拠金額は、2種類の金額の合計です。

  1. 取引を始めるために必要な証拠金(基本的に、取引額の4%)
  2. 強制ロスカットにならないために必要な証拠金(含み損と同額の証拠金)

この考え方の詳細につきましては、別記事「FXで必要な証拠金の計算方法」で確認していますので、ご覧ください。

注文が2つの時の含み損

さて、上の場合、注文は一つです。しかし、リピート系注文では数多くの注文を出すのが一般的です。下の図で確認しましょう。注文が2本の場合です。

含み損が2倍になるイメージ

アの部分で円高が進む場合、オレンジ部分で買ったポジションについて含み損が増えていきます。一方、、イの部分で円高が進む場合はオレンジ部分のポジションに加えて、緑部分で買ったポジションについても含み損が増えていきます。

すなわち、含み損増加速度という点で見れば、イはアの2倍の速さで含み損が増えていきます。

注文が9つの時の含み損

下の図は、9本の買い注文があり、全て約定したうえで円高になっている様子を描いたものです。

最も円安の部分では、円高になっても1つのポジションについてだけ含み損が増えていきます。しかし、最も円高の部分では、9本のポジションすべてについて含み損が増えていきます。

全てのポジションに含み損があるイメージ

リピート系注文の落とし穴

以上のことから、円高になればなるほど、含み損増加速度が大きくなることが分かります。これが、リピート系注文の落とし穴です。

取引開始後、少し円高になっても含み損はわずかでしょう。そして、利食いをどんどん繰り返してくれます。

「円高になっても、余裕だな」
「利食いを繰り返してくれるから最高だな」

というわけで、大きく円高になる場合に必要な証拠金計算をしない、あるいは、円高の恐怖を過小評価してしまう・・・そんな状況が起きるかもしれません。

年単位で見ると、米ドル/円(USD/JPY)は10円(1,000銭)くらいの距離を簡単に移動します。円安方向への移動ならば問題ないですが、円高方向だったら大変です。あれよあれよという間に含み損が膨らんで、強制ロスカットになるかもしれません。

必要証拠金と注文本数の関係

下のグラフは、米ドル/円(USD/JPY)を125円から買い始め、50銭円高になるたびに1,000通貨を買うリピート系注文で必要な証拠金のグラフです。

横軸は約定した注文の本数、縦軸は必要な証拠金です。

必要証拠金のグラフ

約定した注文の本数が多くなるとはすなわち、円高になっているということです。グラフが右側に進むと、円高になります。

そして、グラフは右肩上がりになるのですが、直線ではありません。角度が徐々に大きくなっている様子が分かります。円高が進めば進むほど、必要な証拠金額の増え方は急激になります。

上のグラフでは、約定する注文の本数が90になると、必要な証拠金が250万円くらいになると分かります。50銭ごとに1,000通貨を買うという取引ですが、この状態です。

ちなみに、50銭ごとに買う場合で90本の注文が約定する場合、円高幅は45円(4,500銭)です。かなり広い範囲ですが、年単位でリピート系注文を考える場合は、ありえなくない価格推移です。

どの通貨ペアで取引するか、取引開始レートをどのあたりにするか。こういったことを検討することにより、45円という巨大な値動きを考えなくても大丈夫そうな取引設定が可能になります。

通貨ペアごとの値動きの特徴につきましては、「通貨ペアの長期チャートとスワップポイント」で特集していますので、ぜひご覧ください。

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