長期でリピート系注文を実行するにあたって、避けて通れないのは「過去の値動きはどうだっただろう?」ということです。過去を知らないと、どの程度の範囲に取引設定すれば良いのか分からないからです。
そこで、米ドル/円(USD/JPY)について値動きの特徴を考察しましょう。
目次(もくじ)
米ドル/円(USD/JPY)の長期チャート
最初に、2011年1月以降のチャートをご覧ください。下の通りです。今回はこのチャートの期間(2016年12月まで)で考察していきます。
この期間のチャートの形を確認しましょう。
2011年~2012年前半
2012年後半~2014年
2015年
2016年
上のチャート期間を見ますと、円安・ボックス相場(レンジ相場)・円高のすべての動きを含んでいます。そこで、バランスの良い分析ができそうです。では、米ドル/円(USD/JPY)の1日の値動きの大きさから確認しましょう。
米ドル/円(USD/JPY)の1日の値動きの大きさ
リピート系注文をする際に大切なデータのひとつは、「1日の値動きの大きさ」です。1日に激しく上下動してくれれば、取引設定にもよりますが何度も約定を繰り返してくれるでしょう。自動取引ですから、売買のたびに手動発注する必要はありません。
そこで、米ドル/円(USD/JPY)は1日にどれくらいの値動きがあるのか、確認しましょう。
下の棒グラフは、米ドル/円(USD/JPY)の日足について、「高値-安値」の平均値をまとめたものです。数字が大きいほど値動きが大きいということになります。
こうしてみますと、1日の値動きは平均して100銭(1円)もないと分かります。平均で90銭未満でした。ということは、注文値幅を100銭にすると、1週間で約定できるのは数回以下かな?と予想できます。
(注文値幅・・・リピート系注文における、注文と注文の間の距離)
注文値幅を50銭にすれば、平均的に見て1日1回弱くらい約定してくれるかな、と予想できます。そこで、毎日約定してほしい場合は、注文値幅を50銭程度以下にするのが望ましいと分かります。
米ドル/円(USD/JPY)の年間高低差
次に、年間の高値と安値の差(年間高低差)を確認しましょう。長期でリピート系注文をする場合、予想外に値動きが大きくてびっくりしないようにしたいです。
結果は下の通りです。
2011年、2012年、2015年の年間高低差は10円(1,000銭)しかありませんでした。10円は大きな幅ですが、1年間という期間を考えますと、日々の値動きはとても乏しかったことでしょう。
しかし、2013年、2014年、2016年は20円前後の値動きがあります。2倍ということです。
値動きが大きい時は、適度に約定してくれます。このため、さらに注文を増やそうという気持ちにならないかもしれません。しかし、値動きが小さい時は約定がなくてつまらないので、つい注文数を増やしてしまうかもしれません。
その行動は、とてもリスクが高いと分かります。気を付けましょう。
では最後に、米ドル/円(USD/JPY)のヒストリカル・ボラティリティを確認しましょう。
米ドル/円(USD/JPY)のヒストリカル・ボラティリティ
ヒストリカル・ボラティリティとは、値動きの大きさを%で示したものです。例えば、南アランド/円(ZAR/JPY)は通常、1日で50銭も変動しません。このため、米ドル/円(USD/JPY)よりも値動きが小さいと言ってよいでしょうか。
しかし、南アランド/円(ZAR/JPY)は、価格水準が10円よりも小さいです。100円前後の米ドル/円(USD/JPY)と同列で考えることはできないでしょう。
そこで、値動きを%で考えるのが、ヒストリカル・ボラティリティの目的です。
米ドル/円(USD/JPY)のヒストリカル・ボラティリティは10%を下回る場合が多いようです。2011年から2016年までの全体のヒストリカル・ボラティリティは9.7%です。
9.7%という数字をどのように評価すれば良いか?ですが、豪ドル/円(AUD/JPY)やNZドル/円(NZD/JPY)などよりも小さな数字です。すなわち、値動きは比較的小さいと言えるかもしれません。
米ドル/円(USD/JPY)を含む主要5通貨ペアの比較につきましては、「長期トレードに向いた通貨ペアは何か?値動きの特徴から分析」で考察しています。ぜひご覧ください。