ユーロ/円(EUR/JPY)を、長期のリピート系注文という観点から調査してみましょう。最初にスワップポイント、そして次に長期チャート分析の順で進めます。
目次(もくじ)
ユーロ/円(EUR/JPY)のスワップポイント
スワップポイントの大きさは日々変化しますし、あまりに長期間のデータを取得するのは困難です。そこで、ユーロ圏と日本の政策金利差を比較しましょう。
こうしてみると、ユーロ圏の政策金利の方が高いです。よって、ユーロ/円(EUR/JPY)を買って持つとスワップポイントはプラスです。
しかし、2014年以降を見ますと、少し様相が異なります。わずかではありますが、ユーロ圏の政策金利は日本よりも低くなっています。すなわち、ユーロ/円(EUR/JPY)を買って持つと、スワップポイントを毎日「支払う」側になっているかもしれません。
これは、面白くない事態です。
このマイナスがどれほどなのか、くりっく365の公開データで確認しましょう。くりっく365は公的な性質を持つ取引所で、各種データも無料で公開しています。
下のグラフは、ユーロ/円(EUR/JPY)を1万通貨買って保有し続けた場合の、1年間あたりのスワップポイント金額です。
上のグラフで分かりますとおり、2016年はマイナスに沈んでいます。2012年から2015年にかけても、辛うじてプラスになっているという状態です。
豪ドル/円(AUD/JPY)やNZドル/円(NZD/JPY)とは大きく異なります。
よって、スワップポイントの観点で見れば、ユーロ/円(EUR/JPY)を長期のリピート系注文で買うのは難しいかもしれません。しかし、スワップポイントは重要ですが、脇役です。主役は為替レート変動による利食いです。
そこで、ユーロ/円(EUR/JPY)の長期チャートを分析しましょう。値動きにどのような特徴があるでしょうか。
ユーロ/円(EUR/JPY)の長期チャート
下のグラフは、2002年以降のユーロ/円(EUR/JPY)の推移です。ユーロができる前は、ドイツマルクやフランスフランなど、日本と同じように各国は独自通貨を持っていました。
独自通貨を放棄して採用したのがユーロというわけですが、ユーロが本格的に使われるようになったのは2000年代初頭からです。そこで、チャートは2002年からとしています。
このチャートを見て、どんな傾向が分かるでしょうか。様々なことが分かるでしょうが、下のように矢印をいくつか引いてみました。
矢印の長さを期間で確認してみましょう。
- 2002年~2008年(6年間と少し)
- 2008年~2012年(4年と少し)
- 2012年~2014年(3年間)
- 2015年~ (?年)
ユーロ/円(EUR/JPY)は長期的に見てトレンドになる期間が長いと分かります。よって、長期のリピート系注文を考えるとき、下のような設定例を考えることができます。
ユーロ/円(EUR/JPY)の長期リピート系注文(例1)
・上昇トレンドのときは買いのリピート系注文
・下落トレンドのときは売りのリピート系注文
ひとたびトレンドができると、何年にもわたって継続します。このため、特定の日に取引を開始しなければならないというトレードではありません。1ヵ月や2か月乗り遅れても問題ありません。
急がないというのが、この長期リピート系注文のメリットです。そこで、日足だけでなく週足や月足のチャートを眺めながら、のんびりとトレンドを探しても良いでしょう。
なお、下落トレンドで売りのリピート系注文をするのは、多少なりとも心理的なハードルを感じるかもしれません。
例えば、米ドル/円(USD/JPY)や豪ドル/円(AUD/JPY)売ってリピート系注文をしようとする場合、スワップポイント損が大きくなってしまうからです。
しかし、すでに確認しました通り、ユーロ/円(EUR/JPY)はスワップポイントが小さいです。多くの場合、スワップポイントは大きいほうが、メリットが大きいでしょう。しかし、売りのトレードの場合は必ずしもそうではありません。
ユーロ/円(EUR/JPY)は、他の主要な通貨ペアよりも、長期で売るリピート系注文をしやすいと言えます。
ユーロ/円(EUR/JPY)の長期リピート系注文(例2)
上の方法は検討に値する方法だと思います。しかし、「相場を読む」ことが必要です。長期のリピート系注文のメリットの一つは、相場を読まなくても良いことです。
そこで、ひとたび設定したら完全に放置できる設定も考察してみましょう。例えば、下の赤で囲った範囲で買い注文を出します。
上の四角の範囲で、下のような取引設定を発注するとしましょう。この場合に必要な証拠金は160万円台です。
買いの範囲:95円~145円
値幅:100銭(100銭ごとに買い)
数量:1,000通貨
損切り:93円
取引の範囲が大きいので、必要な証拠金も大きくなってしまいました。値動きの範囲が大きいと、証拠金が大きくなってしまうのがデメリットと言えるでしょう。しかし、放置できるというメリットもあります。
ただし、一時期騒がれたユーロ崩壊というシナリオを考えますと、損切りも視野に入ってくるかもしれません。その面では、このプランは少々ドキドキする内容かもしれません。
一方、設定例1の方法は、必要な証拠金を格段に少なくできます。
証拠金の大きさを明示するのは難しいですが、仮に100銭ごとに1,000通貨買い、発注する全体の範囲を500銭とします(注文本数は5本)。為替レートが動いていったら、取引の範囲も徐々にずらしていきます。
この方法ですと、10万円あれば十分でしょう。
為替レートの動きが予想と逆方向に進む場合、損失になってしまいます。しかし、年単位の大きなトレンドを捉えてトレードできれば、とても資金効率の高い取引が可能です。