為替レートの動きは、大きく2つに分けることができます。トレンド相場とボックス相場(レンジ相場)です。では、トレンド相場とボックス相場は、どちらの方が多いでしょうか。
一般的には、ボックス相場(レンジ相場)が7割~8割と言われているようです。
この形はボックス相場かトレンド相場か良く分からないな、という状況も数多くありますが、明らかなトレンド相場というのは多くないかもしれません。
ボックス相場(レンジ相場)の例
下のチャートをご覧ください。豪ドル/円(AUD/JPY)の日足チャートです。2016年1月から4月までの値動きですが、これはきれいなボックス相場だといえるでしょう。
この形を見ると、「リピート系で勝負したら成功するかも?」と感じませんか?例えば、以下の注文を自動取引で繰り返し発注するのです。
50銭円高になるごとに買って、含み益が50銭になったら決済する戦略です。
リピート系注文の例
85.00円で買い、85.50円で決済
84.50円で買い、85.00円で決済
・
・
・
81.00円で買い、81.50円で決済
80.50円で買い、81.00円で決済
80.00円で買い、80.50円で決済
何回も利食いを繰り返してくれることでしょう。しかも、最初に取引設定すれば、後は全自動です。実際に取引できれば最高です。
トレードの問題点
・・・しかし、問題があります。上の例で、私たちは過去のチャートを見てボックス相場だと判断しています。過去のチャートを見て判断するのは簡単です。しかし、実際に取引するのは現在から未来にかけてのチャートです。
将来の値動きはどうなるのか、全く分かりません。
そのような状況で、これからボックス相場になるかどうか?を判断しなければならないのです。仮に、上のチャートの右端(2016年4月末)で、ボックス相場だと見込んで豪ドル/円(AUD/JPY)を買ったとしましょう。
その後の値動きは下の通りです。赤の横線2本で囲んだ部分がボックス相場です。為替レートは円高方向に進んでしまいました。損を出して終了ですので、全く面白くありません。
では、いち早くボックス相場だと判断するには、どうすればよいでしょうか。検討しましょう。
相場の判定方法
為替レートがどうなったら、ボックス相場(レンジ相場)だと判定できるでしょうか。単純なチャートを見ながら考えましょう。
下の曲線は為替レートの動きです。円高でレートが下がってきましたが、A点で反発しています。その後、円安になりましたが、B点で再び折り返して円高になっている様子を描いています。
さて、この為替レートはA点と同じ為替レートのあたりで反発する、と考えてよいでしょうか。すなわち、ボックス相場になると考えてよいでしょうか。
ボックス相場になるかもしれませんが、この形でボックス相場になったと判定するのは、かなり難しいと思います。なぜなら、下の形になる可能性も十分あるためです。
この形になる場合、B点は押し目だったという判定になります。すなわち、下落トレンドです。この形状はしばしば見かけます。珍しくありません。すなわち、この形状でボックス相場だと判定するのは無理があります。
では次に、下の図のようになったとしましょう。A、Bと動き、C点でも反発しました。B点と同じくらいの位置で反発してボックス相場になると考えてよいでしょうか。
これも、かなり難しいかもしれません。というのは、下の図のようなパターンがあるからです。これは「ダブルボトム(Wボトム)」と呼ばれるチャート形状で、上昇を示唆すると言われています。
「ダブルボトム(Wボトム)」という命名がされているくらいですから、かなりの割合でボックス相場にならないと予想できます。
以上のことから、下の段階になってようやく、これはボックス相場だと判定できます。ボックス相場ができて時間が経過して、ようやく確定できます。よって、ボックス相場でトレードするのは、思いのほか難しいということになります。
チャートを眺めていると、「これはボックス相場だ」と分かる場面がいくつもあります。ならば、そこで取引すればいいじゃないか!というのは正論だと思います。しかし、それが実行できない・・・ここにボックス相場のトレードの難しさがあるでしょう。
そして、ボックス相場だと判定してから取引を開始するのですが、取引を始めたときには、すでに終盤に差し掛かっているかもしれません。すなわち、すぐにトレンド相場になってしまうかもしれません。
こうなるとさらに、ボックス相場で取引するのは難しくなるでしょう。
ボックス相場よりもトレンド相場の方がトレードしやすいという趣旨の文章を、インターネットで見つけることができます。それは、以上の趣旨を反映しているでしょう。
判定のまとめ
今までの考察を踏まえて、豪ドル/円(AUD/JPY)の値動きをもう一度確認しましょう。
E点前後まできて、ようやくボックス相場(レンジ相場)だと確定できます。そこから取引を開始します。
ただし、この例の場合は、取引開始からボックス相場終了までの期間が短いです。よって、利食い回数が十分に多くないかもしれません。最終的に、利食いと損切りとの合計でプラスになったか、それともマイナスになったかについては、ここでは判定できません。
しかし、ボックス相場が延々と続く場合は、利食いを繰り返してくれます。